晴耕






里山日記


2008








 




  「ブドウ狩 音川観光農場」 20081115

 もう立冬を過ぎ、冬の足音が着実にせまってきている。まわりで何人もカゼをひいており、例の如くしっかりうつされてしまって、今週はほとんど息も絶え絶えに職場へ行き、帰宅して即寝入る毎日だった。それもようやく治まったようで、こうしてポチポチとキーボードを叩けるようになった。
 みなさんもお気を付け下さい。

 さて、ブドウの季節も終わってしまった。
 わが家では、9月から10月までに県内各地を回り、摘みたてのブドウを食べまくることが行事化している。採ったばかりのブドウを一度食べると、スーパーなどで年中売られている、何日寝かせたかわからないようなモノは、とても食べる気がしなくなってしまう。
 多少値段が高くとも、実りの秋に本物の味を思う存分堪能して、残りの季節はじっと辛抱している方がよい。まあ好きずきではあるが…。

 ところで今年、はじめて旧婦中町(富山市)の「音川観光農場」(富山市婦中町牛滑東山184)へ行った。ここは、砺波市から富山市へ抜ける、国道359号から外れた場所にあり、少々行きにくかったため、これまで見過ごしていた。


 【音川観光農場の売店】
 行ってみると写真の通り、ブドウ園の前に申しわけ程度の売店があり、あんまり店売りには、力が入ってないように見うけられた。実際は、お店の人がみな非常に気さくで、感じがよかったけれど。
 おなじみの「巨峰」を摘み取って食べた後、売り場で「紅巨峰」と呼んでいたブドウを試食したら、ひどくうまかった。ただし「紅巨峰」という品種はなく、 「紅伊豆」「紅富士」等を総称して言っているらしい。 
 ちなみにここで売っていた、白いサツマイモがたいへん美味だった。来年もぜひ、買いに行きたい。

 また後日、砺波市の「宮崎ブドウ園」にも行った。
 もう何度も足を運んだおなじみのブドウ園だが、一年ぶりに来たら、なかなか気の利いたパンフレットを配布しており、HPがおしゃれにリニューアルされ、サービスがかなり向上している。
 ここで扱っているブドウの品質は、県内で最高かもしれない。今年は一度しか行けず、「種なし巨峰・ニューナイ・赤嶺・安芸クイーン・ハニービーナス」の5品種しか食べられなかった。
 このうち「安芸クイーン」と「ハニービーナス」が、絶品だった。
 去年も食べてファンになった「安芸クイーン」は、甘みが強く適度の酸味があり、香りが良い。初めて食べた珍種の「ハニービーナス」は、マスカットに似て味わいはまったく異なり、名前に恥じず蜂蜜のように甘い。
 この他にも、粒が長く皮ごと食べられる、素直な味の「ニューナイ」や、甲斐路の系統で赤マスカットと呼ばれ、まろやかな甘みの「赤嶺」なども食べた。それぞれに個性があり、まずかろうはずはない。
 しかし先ほども述べた通り、もう向こう一年、こんな美味しいものは手に入らない。これから来秋まで、じっとガマンの子でいるしかない。




 




  「ブルーベリーの実り」 20080921

 氷見では9月に入って残暑が厳しく、連日30度近くまで気温が上がった。
しかし貧しいわが職場では、8月までしか冷房が入らず、扇子・団扇の類しか、暑さを払う手立てがない。毎晩汗だくでへろへろになり帰宅していたが、この頃さすがに日が暮れると涼しく、寝苦しい夜がないので助かっている。
 ただ言い伝えによれば、それも彼岸までのことだそうだから、もう明日からはめっきり涼しくなるに違いない(?)。

 さてこの夏、ベランダの鉢植えで育てている、ブルーベリーがよく実った。
 昨年(「ブルーベリーの収穫」20070909)百粒以上収穫でき、非常な豊作と喜んでいたが、なんと今年はそれ以上の出来だった。実の糖度もそこそこ高く、スーパーで売っているものとそれほど変わらない上、鮮度の違いは歴然としている。
 毎朝摘みたてのブルーベリーを何粒かいただけるのは、わたくしのようなドライアイの者にとって、涙が出るほど幸せなことだ。気のせいか、ブルーベリーを食べた日は、目の調子もずいぶん良いようだ。
 この株も目いっぱい茂ってきたので、秋になり落ちついたら、大きめの鉢を探して植え替え、また来年に期待したい。

 ところで、きれいなバラには刺があるように、美味しいブルーベリーには「イラガ」がいる。
 今年初収穫の時、興奮して手当たり次第に実を摘んでいたら、葉の裏にいた「イラガ」の幼虫に刺された。感電したかのような痛みがあり、半日指先がうずいた。
 しかしまあ、しょせん幼虫は動きが鈍いので、注意さえしていればなんでもない。その後はめでたく(?)、わが息子が飼っている「オオカマキリ」(生き餌しか食べない)の、貴重なエサになっていた。
 「イラガ」はカキ・ウメ・リンゴ・ナシなど、身近な果樹によく発生するので、皆様もお気を付けください。

※詳細は、次のとおり。

 農林水産技術情報協会
  →「昆虫科学館」
   →「庭の刺す毛虫・
     刺さない毛虫」
    →「イラガ」

 みんなで作る日本産蛾類図鑑
  →「46 イラガ科」
   →「15 イラガ」

 【今年もよく実ったブルーベリーの鉢植え】




 




  「豪雨 他」 20080818

 氷見ではお盆の頃から天候不順で、16日に豪雨が降った。8月中旬に入って、異常に暑くなり、猛暑日・熱帯夜が続き、なにか変だなと思っていたら、この豪雨だった。
 わが家方面では、近くに雷が落ち、ケーブルテレビが午前中映らなかった程度で、特に被害らしきものはなかった。しかし市内の数箇所で水害が発生しており、詳しくは次の記事をご参照ください。
北日本新聞HP
  氷見で3棟浸水 大雨、1時間に55.5ミリ観測(20080816 15:00)
 十六日の県内は、未明から明け方にかけて、暖かく湿った空気が入り込んで大気の状態が不安定となり、さらに、発達した雨雲が上空を通過したため、非常に激しい雨が降った。氷見では午前一時十分までの一時間降水量が、八月としては観測開始以来最大の五五・五ミリを記録。氷見市によると、氷見市窪で民宿と住宅の車庫合わせて二棟が床上浸水、同市稲積で住宅一棟が床下浸水する被害が出た。
 氷見では午前二時五十分までの三時間降水量も九三・五ミリを記録し、昭和五十三年の観測開始以来最大となった。未明から明け方までの各地の三時間降水量最大値は、砺波六六・〇ミリ、宇奈月と魚津が六〇・〇ミリ、高岡五三・五ミリ、南砺高宮四九・〇ミリ。富山地方気象台は県内全域に一時、大雨洪水警報と、土砂災害警戒情報を出した。
 県防災・危機管理課のまとめでは、高岡市の二上山万葉ラインで土砂崩れが発生、氷見市柿谷の市道でものり面が崩れた。双方とも一時通行止めとなったが、十六日午前九時までに復旧した。両市内では計五カ所で市道が冠水。県によると、このうち、同午前十時現在、氷見市上泉の市道で冠水が続いている。
 同気象台によると、十六日は昼すぎから所によって雷を伴う激しい雨が降る見込み。十七日は大気の状態が不安定となり、明け方から雨が降りそう。同気象台は浸水や河川の増水、落雷、竜巻、高潮などへの注意を呼び掛けている。
 今年は空梅雨で水不足の心配があり、次の通り高温少雨による農作物の被害に、注意が呼びかけられていた頃だった。それがいったん降り出すと、このような豪雨になる。
 日本の夏は、もうすでに熱帯の域へ入りつつある。
KNB WEB
  高温少雨で農作物の管理の徹底を呼びかけ(20080812 17:02)
 県内は8月に入ってから気温が高く、雨も少ないことから、県では農作物に影響が出る可能性があるとして緊急情報を出し管理の徹底を呼びかけています。それによりますと、8月に入ってから11日までの平均気温は27.8度と平年に比べて1.3度高くなっています。 また5日以降、雨が降っておらず、今後も気温が高く雨が少ない状態が続くと見られます。
 このため水分を最も必要とする時期にあたる稲については穂が出てから20日間は田んぼに水をきちんと張ることやカメムシの追加防除を行うことを呼びかけています。一方、大豆については、土が乾きすぎないよう、うねの間に水をやることやアブラムシなど害虫の防除の徹底を、また、園芸作物についても水やりや高温に注意するよう呼びかけています。
 ちなみに、今年わが家の菜園は豊作で、7月末に例のアンデスレッドを掘ってきた。
 二畝ほど植え、小さ目のダンボールにひと箱くらいは収穫できた。採りたてのジャガイモで作る、少々赤みがかった「こふきいも」の美味しかったこと。来年にも期待したい。

※【注】
 アンデスレッドで作る「こふきいも」

 採りたてのジャガイモは皮が薄いので、ピーラーなど使わず、スプーンでこすり取ると赤みが付いておもしろい。またアンデスレッドは煮くずれしやすいので、適度に軟らかくなったらすぐ水気を飛ばし、粉を噴かせなければならない。
 こんなことを書いているのは、お察しの通り失敗したからで、恥を明かせば収穫後の喜ばしい食卓で、ややペースト状の「こふきいも」を食べていたのだった。無念!




 




  「豆類の豊作」 20080609

 「里山日記」も、3月以来の更新となる。
 前回種蒔きの話をしていて、今回いきなり収穫について書くのは、やはりいささか唐突の感をまぬがれない。しかし5月中本業がひどく多忙で、なかなか時間がとれず、さらに下旬の頃、少々左足を痛め、1週間ほど満足に歩けない状態だった。
 ある朝起きると足首に違和感を覚え、当日はそのまま勤務していたけれど、翌日痛くて歩けない。まさか寝ている間に捻挫したわけでもないだろうが、湿布してサポーターを付けると、なんとか歩けた。
 しかし身体に故障があると精神的にも疲れ、帰宅してすぐ寝る毎日だった。今週ようやく足も完治し、再び畑仕事に勤しめるようになった。めでたし、めでたし。

 今年は豆類の豊作で、写真のごとく、とりわけ愛するソラマメ様が、たわわに実っておられる。すでに五十個ほど美味しくいただいており、もしかすると百個はいけそうな勢いだ。
 ソラマメ様を植えはじめて、最高の収穫となるかもしれない。
 アスパラガス君の株分けも、いちおう成功し、三分したどの株からも収穫できた。
 Mr.アンデスレッドもがんばっており、いま可憐な花を咲かせている。葉っぱが非常に元気で、二十株は実りそうだ。

 早春の頃から計画的に草刈りし、落ち葉をすき込み、石灰を撒いて、土壌改良してきた成果だと言って良い。
 でもほんとうは今年、わが家から出る生ゴミや落ち葉等しか用いないという、「リサイクル農法」の節を少しばかり枉げ、初めて「けいふん」(鶏糞)を撒いたことが、効いていただけかもしれない…。


 【たわわに実ったソラマメ】 →




 




  「畑作初め」 20080330

 3月は公私とも多忙をきわめ、もう月末・年度末になった。葬式・法事・進学祝い・送別会の他、親しくお付き合いしていた同僚が、氷見を離れ遠くの町へ引っ越すことになり、その手伝いに行ったりしていた。
 もうくたびれ果てました。
 しかしそうした中で、暇をみてはわが小菜園へ赴き、畑作に勤しんでいた。

 2月末には土を起こし、果樹の根に肥料を入れ、アスパラガス君の株分けなどけをした。
 しかし、いい加減なやり方だったので、ちゃんと根付くか心配だ。
 あにはからんや、この数日後には大雪となり、丸1週間も雪が降り続いた。アスパラガス君の運命やいかに。

 3月始めにスズタケの伐採と、草刈りをした。
 一昨年に、ご近所の皆様が見るに見かねて刈り取ってくれたスズタケが(「スズ竹退治」20060710参照)、そろそろ復活しつつある。この時期に刈り取っておかなければ、手が付けられなくなるということで、奥様に命じられ、わが草刈り機の今年初稼働となった。1時間半ほどの労働で、一通り刈り終えたが、おかげさまで翌日、ひどい筋肉痛に悩まされた。

 3月末にはジャガイモを植えた。
 某園芸店に、憧れのアンデスレッドが出ているという情報を得、さっそく入手し、菜園へ植えた。買って即日に植えるのは初めての快挙だが、半分に切って、一夜も干していないことが、裏目に出ないか心配ではある。
 ところで、昨年末に植えたソラマメ様の芽がしっかり出ており、今年はけっこう実るかもしれない。うちの土壌と相性が良く、定番化しつつあるズッキーニの種も買った。
 カボチャもニンジンも用意しており、この春の菜園はにぎやかになりそうだ。


 【今春の菜園 2008】

@株分けし成果が期待される
  アスパラガス君

A今年こそ豊作を祈る
  ソラマメ様

B華麗に実って欲しい
  エンドウ豆さんたち

C自前で入手した憧れの
  Mr.アンデスレッド





 




  「里山日記」 20080225


 今年もふと気がつくと、もう2月の終わりになってしまった。
 オリンピック・イヤーということで、29日まであるとはいえ、「二月は逃げ、三月は去る」と、昔の人はうまいこと言ったものだ。正月明けの成人の日、なぜか急に話しがまとまり、一泊旅行に行った出来事を、ついうっかり今に至るまで書きそびれていた。

 奥様がずっと狙っていたという「里山の宿 薪の音」に、一週間前の時点で空室があり、即決で予約完了となった。正月にわが家の王子様が水疱瘡にかかり、実家で計画していた温泉旅行へ、行けなくなったリベンジのようだった。
 しかしながらかんじんの王子様が、当日の朝になって「お泊まりイヤ!」などとのたまい、あせる。なだめすかし、ドライブのふりをして南砺市城端まで行き、一抹の不安を感じつつお宿へ着いた。するとホールにあった暖炉の雰囲気に圧倒され、たちまちご機嫌になる。その後、お部屋のベッドでひとしきり運動会し、部屋の濡れ縁から外へ出て、雪だるま作りに興じていた。

 「薪の音」のHPによれば、このお宿のコンセプトは、
「一日3組の客をもてなす。農家の館主が丹精込めて育てたお米を釜戸で炊くごはん、蚊帳のつられたベッド、薪を使った暖炉のあるロビー、目前に田園がひろがるテラスへ自由に行き来できる半露天風の内風呂。里山のやすらぎと懐かしさがある旬菜フレンチ」
というものらしい。
 4歳になったばかりの王子様が、少しだけ聞き分けできるようになり、夕食のフルコースを、なんとか台無しにせず食べさせてくれた。久しぶりに本格的なフレンチを堪能し、思い切ってシャンペンを頼んだ。ハーフボトルだけど。

 正直言って富山では少々割高なお宿なのだが、部屋・備品・料理・サービス等、それだけの価値はあった。特に朝食がすばらしく、本物の釜戸で炊いた、つやつやの御飯には脱帽した。あれだけぐずっていた王子様も納得したようで、前日とはうって変わってよく晴れた朝の時間をゆったりと過ごし、お昼頃に帰ってきた。

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